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切れかけた蛍光灯が夜の裏道に点滅している
点いたり 切れたり
力なく繰り返される滅びへの哀しい拒み
明かりさえ明るいまま終れないのか
ガラス管の両端はすっかり黒ずんでいる
灯りがが明かりである時の明るさには
気づかず通り過ぎてきたわたしが
今初めて消えかかる街灯を見上げている
もう点滅し始めたかもしれない
さまざまな存在に目を向けて
そこには
恋もあり父母の姿もあって……
「灯りが明かりである時の……」の下りがいい。
- 作者: 吉野弘
- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 2014/02/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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